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[理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会] English Lecture Meetings for Science-Major Students 第49回理科系学生のための公開英語講演会 Pavlov’s Dogs: What Does Animal Behavior Teach Us? 『パブロフの犬: 動物の行動が教えてくれること』

理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会
第49回理科系学生のための公開英語講演会
English Lecture Meetings for Science-Major Students

Pavlov’s Dogs:
What Does Animal Behavior Teach Us?

講師:理工学部 数理・物理コース
北村 美一郎


2022年6月27日(月)に数理・物理コース所属、神経生物物理学の研究者である北村 美一郎先生をお迎えし、標記タイトルによる2014年度以来7回目の講演会を実施した。
講師は古典的条件付け(条件反射)の研究により行動主義心理学の基礎を築いたロシアの生理学者、アイバン・パブロフ(1904年度のノーベル生理学・医学賞受賞者)のイヌの唾液分泌に関する実験を紹介し、ヒトを含む動物の行動にはそれがおかれている状態、感情、あるいは内的思考に関する情報が含まれていることを説明された。
実例として、パブロフの実験におけるイヌの唾液分泌からは望ましい刺激(食べ物)の提供への期待が、北村講師の実験におけるミミズの体躯の収縮、あるいはエリック・カンデル(2000年のノーベル生理学・医学賞受賞者)の実験におけるアメフラシのエラの収縮からは生存に関わる望ましくない刺激に対する防御、コオロギの戦闘行動からは怒りのレベル分けされる激しさが観察されることが紹介された。



北村講師はミミズの記憶の研究に携わってこられたが、アメフラシの記憶に関するような詳細な研究結果が報告されておらず、これまで行われた実験の手法、結果が詳細に報告された。
特に記憶を数秒から数時間の範囲の作業記憶を含む「短期記憶」と数日から数年に及ぶ、時により一生に及ぶ「長期記憶」とに区別して、その各々について条件応答の実験結果が報告された。
記憶はその性質によって分類されるべきものであることが明らかになっており、例えば言語化可能な記憶(陳述記憶)とパブロフの犬の記憶のような言語化出来ない記憶(非陳述記憶)の区別が認められる。
また、てんかんの治療のために脳の一部(側頭葉内側部)を切除した患者HM氏の事例からも記憶の性質による分類が必要であることがわかるが、これらの点に関しては時間の都合上持ち越しとなった。
以下は当日の質疑の一部である。

《Questions & Answers》
Q. The environments are different in which people have lived their lives. Does such difference have any effect on the conditioned and unconditioned responses that every individual shows?
人によって生きてきた環境が違うと思いますが、それによって条件反応と無条件反応に違いが生じることはありますか?

A. The answer is “yes.” I think that many of you don’t like cockroaches, which is “ゴキ…” in Japanese. I’m sorry if I made you feel unpleasant. Maybe, your family don’t like cockroaches, either. But, in cold areas, such as Hokkaido or Nagano, there is no cockroach. So, it is often the case that people from those cold areas do not have a strong aversion to cockroaches. In other words, it often happens that people who have not had much chance to see cockroaches do not dislike them as much as you and I do. From facts like this, we can conclude that the environment in which we have grown has a strong effect on what causes our conditioned response.

Q. People have likes and dislikes about food. Can we bring people to eat food that they dislike through classical conditioning?
人間の場合でも、古典的条件付けの実験結果を用いて嫌いな食べ物を克服することはできますか。

A. I think that probably we can. Suppose, for example, that a child does not like green peppers, ピーマン in Japanese. If the parents explain to him or her that the green pepper is a very, very healthy food repeatedly day by day, the child could eat it someday.

受講者より事後に提出されたレポートでは、
➀体長100㎛の単細胞生物のゾウリムシが条件反射と思われる反応を示す事例
➁古典的条件付けが薬物やアルコールへの依存、ギャンブル依存、窃盗症などへの治療プログラムに応用されていること(条件反射制御法(Conditioned Reflex Control Technique;CRCT))
➂飲食店からの食べ物の匂いが条件刺激として顧客を引き付けていることなどの事実に対する驚き
➃古典的条件付けは植物においても観察されるのかなど、新たな疑問などが寄せられた。
本講演では常識的に「条件反射」として言い慣わされる現象を講師の実際の実験の報告の結果として紹介される機会を得て、理科系学生の好奇心が多いに刺激されるとともに、受講者の英語学習の動機づけが大いに高められた。

2022年6月27日(月)開催

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