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[応用化学] 未来の発明者へ — 企業で活きる「特許」という考え方を学ぶ



2025年6月、関東学院大学理工学部では、日本パーカライジング株式会社の知的財産グループより小林勇太氏をお迎えし、「特許制度と企業における特許の重要性」と題する特別講義が開催されました。学部2年生に対して、「発明をどう守るか」という視点から、理工学の社会的意義を見つめ直す機会となりました。

講師の小林氏は、応用化学を学んだのち、表面処理技術の開発を経て現在は企業の知的財産部門に勤務されています。今回の講義では、特許制度の基本構造に始まり、「どのようなアイデアが発明と認められるのか」「どんな技術が特許として守られるのか」など、実例や演習を交えながらわかりやすく解説されました。

たとえば、日常にある身近な道具について、「ある問題をどうやって技術的に解決するか?」という課題が提示され、それに対する発想をどのように特許として表現するかを考える演習が行われました。アイデアを構造や機能に落とし込み、それを“特許請求の範囲”という形で記述するプロセスは、理工系の知識と論理的思考を融合させる体験となり、学生たちにとって特許制度の実務的側面を深く学ぶ機会となりました。また、近年注目されている「生成AIが作った発明は特許になるか?」という問いにも言及され、現代の知財が直面している課題にも触れられました。学生たちは最新の話題にも興味津々で耳を傾け、講義後の質疑応答も活発に行われました。
 
特許制度は単に「権利」を守るだけでなく、技術を公開し、他者の改良や新たな発想を促すという「知の循環」を促進する役割を担っています。企業にとって特許は競争力の源泉であり、取得することで営業利益や市場価値の向上にもつながります。一方で、他社の特許を侵害すると数億円規模の損害賠償リスクが生じるため、知財戦略は現代企業に不可欠なテーマとなっています。

高校生や受験生にとって、特許はまだ遠い世界に思えるかもしれません。しかし、自分が将来手がける研究や開発が、社会の中でどう扱われ、どう評価されていくのかを知ることは、理工学の学びのモチベーションを高めてくれるはずです。

「発明とは、自然法則を利用した技術的なアイデア」と講義の中で定義されました。これは決して一部の天才だけの話ではありません。日々の授業や実験の中にあるちょっとした気づきや工夫こそが、未来の発明の種なのです。

今学んでいる知識は、ただ覚えるためのものではなく、未来を創るアイデアの源泉です。そして、そのアイデアをどう守り、どう社会に届けるかを考える力こそが、これからの理工系人材に求められているのです。


日本パーカライジングのホームページ >> https://www.parker.co.jp/ja/
応用化学のホームページ >> https://appchem.kanto-gakuin.ac.jp/



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