[理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会]
第41回理系学生のための公開英語講演会
English Lecture Meetings for Science-Major Students
On the Vibration of Buildings:
A Case Study of the Reliquary Hall (Shariden) of Engaku-ji Temple
建築物の揺れ:円覚寺舎利殿の例から
講師:建築・環境学部
高島 英幸 教授
理工学部、建築・環境学部教養学会では2021年6月21日(月)に建築・環境学部所属の高島英幸氏を講師とする標記タイトルによる2018年度、2019年度に引き続き3回目の「理科系学生のための公開英語講演会」を開催した。受講者は理工学部、建築・環境学部1年次生、「総合英語(リーディング)」生・応・建Fクラスの30名程度であった。
単振動、心柱制振などのトピックについての予備的な事前の精読の後に受講者は講演会に参加した。講演においては講師によるより詳細な単振動の概念の説明の後、講師の研究対象である円覚寺舎利殿の振動の性質の分析へと話が進められた。
円覚寺舎利殿は13世紀に建造された仏陀の遺骨を納めているといわれる入母屋造の、(比較的細い柱を特徴とする)禅宗様の神奈川県唯一の国宝建築物である。地面に固定されていない舎利殿の柱の柔軟な固定方法や非常に大きな傾きなど、調査に基づく報告が随所に織り込まれ、受講者が国宝建築物の構造に触れる機会が提供された。
講師は歴史的建造物としての円覚寺舎利殿の価値の維持を目的として、i) Finite Element Method(FEM) 3D Structural Modelの向上、ii) 建物の止め方(Boundary Condition (= Support Condition) )、 個々の具材の止め方の固さ(Individual Connections’ Bending Stiffness)を考慮した固有値分析 (eigen-value analysis), iii)CGツールAVSを用いたフライスル―・3Dアニメーションの制作などの提案を行った。
今回の講演会においては、全てが英語により説明されたのではなく、必要に応じて随所に日本語によるより詳細な説明、講師の国際学会における発表からの経験談、あるいは英語表現自体の問題などが語られ、建築・環境学部の1年次生を中心とする聴講者の興味が終了時まで十分に維持された。
講演内容に関して聴講者より以下の質問が行われ、講師によりすべてに詳細な回答が行われた。
本講演の詳細な内容については教養学会紀要において報告予定。
(下記は当日の聴講者からの質問)
Q1. According to my text, for simple harmonic motion to be an accurate model for a pendulum, the net force on the object at the end of the pendulum must be proportional to the displacement. It also says that this is a good approximation when the angle of the swing is small. My question is what is the angle of the swing that is regarded as “narrow enough”: what degree (and narrower) can we regard as a small angle of the swing?
テキストには「単振動が振り子の正確なモデルとなるためには、振り子の端にある物体にかかる合力は移動に比例していなければならない。」とあり、また、「振幅の角度が小さい時にはこれは十分な近似値である。」とあるが、具体的に何度以下が小さな角度となるのか?
Q2. Why are there few buildings with round roofs?
屋根が丸い建物が少ないのはなぜですか?
Q3. For what kind of motion does simple vibration function as a mathematical model other than the vibration of a spring?
単振動はバネの振動以外でどのような運動で数学的モデルとして機能していますか?
2021年6月21日(月)実施