[理工学部、建築・環境学部教養学会主催ミニ講演会]
(第42回理科系学生のための公開英語講演会)
Exploring the Dynamic High-Energy Universe
『激動の高エネルギー宇宙への旅』
2021年6月24日、理工学部、建築・環境学部教養学会では本学理工学部数理・物理コースの中嶋大氏を講師として、第42回の「理科系学生のための公開英語講演会」を実施した。受講者は、数理・物理コース、電気・電子コース、健康・スポーツ計測コース、情報ネット・メディアコースの学生登録者数26名であった。本講演会は同タイトルにて実施された2019年度に続いて2回目の講演会であった。
中嶋氏は高エネルギー宇宙物理学を専門とする研究者で、2016年2月17日に日本の代表的なロケットHII-Aロケットで打ち上げられたX線天文衛星「ひとみ」の開発に深く関わった。専門領域外の多くの理科系受講者のために、そもそも何故、天文衛星を大気圏外に置かなければならないのかという疑問に答えるために、電磁波、その一つであるX線の性質を特に可視光を含む各々の電磁波の波長の違いに基づいて説明した。RoentgenによるX線の発見の歴史、黒体放射のプロセス、アイザック・ニュートンの思考実験から推測される光と天体の重力の関係などを説明したのちに、「質量の大きな星が一生の最後に自らの重力で崩壊することで生じる(広辞苑)」ブラックホールという天体を紹介した。銀河に、あるいは宇宙全体に存在するブラックホールについて、ブラックホールの大きさについて、ブラックホールの半径の計算式、太陽や地球がブラックホールになるための条件などについて説明が行われた。最後に、講師が現在開発に関わり2022年度に打ち上げられる予定のX線観測衛星XRISM(クリズム)の機能、調査目的などが紹介され、この分野への理科系受講者の興味が大いに刺激された。
当日は受講者より11の質問が寄せられた。すべての質問に講師より詳細な回答が与えられたが、限られた時間内では扱いきれなかった。下記は当日の質疑のうちの一つである。詳細は教養学会紀要「科学/人間」に掲載予定。
Q. My question is about the creation of a black hole. I have heard that it is possible to artificially create a black hole, but how do you do it?
私の質問はブラックホールの生成についてです。ブラックホールを人工的に作れると聞いたことがあるのですが、どうやってつくるのでしょうか?
A. Large Hadron Collider (LHC), the world’s largest and most powerful particle accelerator constructed by CERN (European Organization for Nuclear Research) is rumored to have created “a quantum black hole”. Speculations about black holes at the LHC refer to particles produced in the collisions of pairs of protons. These are microscopic – or quantum – black holes. Scientists are not at all sure that quantum black holes exist.
The physical part of the LHC experiments – colliding particles – happens in nature all the time. We know, for example, that the Earth is constantly bombarded by cosmic rays: when cosmic rays hit the atmosphere, particles are colliding with one another in much the same way as in the collisions planned at the LHC.
以上