2019年6月22日(土)に理工学部応用化学コースにおける学院内連携事業のひとつとして,関東学院六浦中学校1-2年生理科実験講座「ホタルの光をつくってみよう~ルミノールの化学反応~」を行いました。講師として,香西博明教授と香西研究室のスタッフが担当してくれました。香西研究室では,光や微生物で分解できる新規の環境調和型有機・高分子材料の合成と応用に関する研究を行っています。
香西博明教授
生物が発光する代表的なものは、ホタルの光です。発光とは、物質内部で作られるエネルギーを使い、光をだすことです。それとは別に蛍光とは、外から紫外線などの高いエネルギーの光をもらい、低いエネルギーの光をだすことです(例:蛍光灯、蛍光ペンなど)。
ホタルの発光の仕組みは、ルシフェリン(基質)とルシフェラーゼ(酵素)による酵素反応によってエネルギーの高い状態(励起状態)のオキシルシフェリンとなり、そのエネルギーを光として出しエネルギーの低い基底状態のオキシルシフェリンとなります。今回は、刑事ドラマでお馴染みの血痕の鑑識に利用されるルミノール反応による化学発光(chemiluminescence)を用いて人工的にホタルの光を再現しました。アルカリ性の水溶液中でルミノールと過酸化水素が反応して得られた物質はエネルギーが高い励起状態にあり、すぐにエネルギーの低い基底状態に戻る際、励起状態と基底状態の差分のエネルギーを光として放出します。香西研スタッフと一緒に、配布された実験手順書を元に実験を行いました。溶液を混ぜることによって発光し、その溶液を温めたり冷やしたりした場合の発光の様子を「自らの手」で感じることができたと思います。身近な現象も、じっくり考えるとそこには多くのサイエンスが凝集されています。日常の光景にサイエンスという視点が加わることで,これまで気づいていなかった世界が広がっていることを知っていただければ応用化学コースとしてもうれしい限りです。
休日の中,参加してくれた中学生および香西研究室のスタッフには深く感謝申し上げます。