理工学部、建築・環境学部教養学会ミニ講演会(理系学生のための公開英語講演会)
Methods for Diagnosing High Voltage Equipment
『高電圧機器の診断手法』
講師:財団法人電力中央研究所名誉研究アドバイザー
岡本 達希
理工学部、建築・環境学部教養学会では7月8日(月)に財団法人電力中央研究所名誉研究アドバイザーで、本学工学総合研究所研究員の岡本達希氏を講師とする標記タイトルによる理系学生のための公開英語講演会を開催した。受講者は電気・電子コースを中心とする理工学部1年次生30名程度。本講演会では高圧送電の管理、点検に40年にわたり携わってきた講師の経験から、高電圧送電がどのような送電機器を用いて行われるのか、それらの機器の管理がどのように行われているのかという点などが具体的に説明された。英語の講演会であるので機器の名称を英語で知ることから始まらなければならない受講者は大いに苦労していたが、現場を熟知する講師からの説明に多くの学生が学びを得た。
講師は1)高電圧送電が電圧を下げるプロセスであり、介在する機器は安全に電圧を下げてゆくための装置であること、2)エネルギーとして電気を送電する理由は他のエネルギーに容易に変換でき、遅滞なく遠距離に送ることが出来るからであること、3)変電所の重要な機器である套管(ブッシング)、ガス開閉装置、XLPEケーブル(架橋ポリエチレンケーブルCross-linked Polyethylene Cable)、PD検知器などの様々なタイプのセンサー、変圧器などの機能、4)各々の機器に用いられる材質や特性などが異なるため、管理においては経年数のみではなくこれらの性質や個々の機器の置かれた条件を熟知することの必要性、5)点検の手法には確立された唯一の方法はなく、複数の方法を適切に組み合わせて点検にあたらなけらばならないこと、6)診断の方法自体も研究開発してゆかなければならないことなどを説明した。
下記は当日の受講者よりの質問と講師の回答の一部。
Q and A
Q. I heard that the core of a transformer produces noise or vibration. What kinds of measures are taken when the transformers are placed in residential areas?
変圧器では鉄心によって騒音や振動が発生するそうですが、住宅地に設置する場合どのような騒音対策をするのでしょうか。
A. When the substations are built in residential areas, the power company spends a proper amount of money for reducing the vibration from the transformers by installing sound shield barrier walls or by making some distance between the transformers and the residential areas.
Q. According to my text, transformers are controlled by SCADA. However, can we control every operation remotely?
教科書では変圧器はSCADAで遠隔操作されていると述べられていますが、すべてSCADAで統御できるのですか。
A. Almost any situation can be controlled by SCADA. However, since SCADA is not a perfect system, accidents can happen which it cannot treat; for example, some animals sometimes stray into a transformer and hide in it. It is very difficult to decide in such cases if they should stop operating the transformer or not.
本講演の内容の詳細は紀要「科学/人間」に掲載予定。
2019年7月8日(月)開催