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[理工学部、建築・環境学部教養学会第37回ミニ講演会](理科系学生のための公開英語講演会)Why Do We Study Plants? 『なぜ植物を学ぶのか?』

           理工学部、建築・環境学部教養学会第37回ミニ講演会(理科系学生のための公開英語講演会)
                      Why Do We Study Plants?
                        なぜ植物を学ぶのか?

                                 講師:理工学部理工学科、生命科学コース
                                     近藤 陽一


 理工学部、建築・環境学部教養学会では、12月9日に理工学部理工学科、生命科学コース、近藤陽一氏を講師として標記タイトルによる2回目の英語講演会を開催した。講師の専門である植物生理学の立場から、以下の内容による英語のレクチャーが行われた。聴講者は建築・環境学部1年次生および生命科学、応用化学を専攻とする理工学部1年次生を中心とする35名程度の聴講者であった。
(講演内容、質疑の詳細は2020年3月発行、学内紀要「科学/人間」に譲る。)

講義
①生命、人類にとっての植物
 Joseph Priestleyの実験依頼、我々が気づいてきたように植物がなければ動物や他の生命は生存できない。動物は酸素を必要とするが、動物の生命活動は酸素を消費するので、植物に光合成の副産物としての酸素を作ってもらわなければ動物は生きてゆけない。我々の呼吸する酸素の殆どは植物により作られている。植物はまた、我々が食物や燃料として消費する化学的に蓄えられたエネルギーを持つ。

(from Williams, M.E. (February 25, 2011). Why Study Plants? Teaching Tools in Plant Biology: Lecture Notes. The Plant Cell (online), doi/10.1105/tpc.109.tt1009)

②なぜ植物を研究するのか?
 今、植物を研究しなければならない理由は、これまで与えられてきた植物による恩恵のみでは人類の生存が維持できない可能性があるからである。現在、世界の人口は76億人と言われており1950年の人口25億人の3倍以上となっているが、2050年までには90億人になると予測される。この人口増加のペースに食料の供給を合わせていくためには、食物の生産量を次の30年に70パーセント増やさなければならず、栄養価の高い多量の収穫が可能な植物を品種改良により作らなければならない。食料の問題は発展途上国において特に深刻で、すでに現状においても年間6千万人の人口が飢餓や栄養失調により失われている(2004年統計)。

③植物科学者の役割
 地球の温暖化により干ばつが頻発しているが、発展途上国においては物理的な水不足に加えて、経済的な水不足(水インフラの不備)により引き起こされる干ばつや環境のストレスが作物の生産量に制限を加えている。
 栄養不足は貧困を最も大きな要因とするものであり、政治や経済の力が問題の解決に不可欠である。一方、植物科学者は幾つかの遺伝子が植物の干ばつへの耐性を向上させることを知っている。また植物を長く大きな根茎を持つものに品種改良することにより、限られた水でも収穫を得られるものに変えてゆく試みを行っている。多くの肥料を必要としない植物、病原菌に耐性を持つ植物、栄養価の高い植物をつくることも植物科学者の目指すところであり、アフリカにおける貢献の例としてはキャッサバの品種改良が挙げられる。キャッサバはアフリカで広く食べられてきたが栄養価があまり高くないという欠点があった。植物学者は従来のキャッサバよりビタミンAの豊富なキャッサバの変種を栽培することにより、栄養不足の問題に貢献することを目指している。
 植物は薬として用いられる何百という化合物を作りだすので、医薬品としての植物を見出してゆくためには植物科学者の努力は欠かせない。例えば、マラリア病原虫に対してはキナの木の樹皮から採取されるキニーネや、漢方薬としても用いられてきたアルテミシアの成分が効果を持つことが知られているが、植物学者はその成分アルテミシニンの生産性をより高くする研究を行っている。
人類が今後用いるエネルギーの問題を解決するためにも、植物科学の貢献が必要である。人類の発展を化石燃料に頼ることは資源的にも環境的にも望ましくないので、バイオ燃料の開発には大きな期待が寄せられる。例えば、細胞壁成分のセルロースから作りだされるバイオエタノールは、ガソリンと混合して利用することができる。また植物や藻類由来の油から作られるバイオディーゼル燃料は、石油由来の燃料と混合せずに用いることのできるため、有力な燃料候補である。
新たな衣類や住居の素材などを開発する際にも、その資源として植物のことを考えなければならない。
植物を研究する理由は、人類が生き延びるために必要であるからである。

質疑
Q&Aセッションにおいては14の質問が行われたが、そのうち10の質問が建築・環境学部の学生からの質問であり、環境を構成する植物に対する同学部の受講生の関心の高さが印象的であり、建築学と環境との密接な関係性が改めて認識された。下記は当日の聴講者よりの質問の一部。

Q. Why do weeds grow though nobody sows their seeds?
なぜ雑草はだれも種を植えてないのに生えてくるのか?

Q. Is there a possibility that plants will dominate humans?
植物が人間を支配する可能性はあるか?

Q. Why are there male gingko trees and female gingko trees? To me, it seems that if the same tree had both male flowers and female flowers, it could leave its seeds more easily.
同じ木に雄花と雌花があった方が種を残しやすいのに、イチョウのように雄と雌で木が違う植物は、なぜわざわざ分かれているのか?

                                  2019年12月9日(月)開催

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