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ミニ講演会「電流戦争」-共通科目-

イベント

 

理工学部/建築・環境学部教養学会では、2016年7月14日に理科系学生のための英語講演会「電流戦争」(講師:理工学部電気・電子コース 植原弘明先生)を開催しました。

本講演会では植原先生の専門である電気工学の分野から理系の学生にとって興味深いテーマのご提供をお願いしたものですが、工学系の学部、コースの垣根を越えた学生に対して行われ、専門外の聴講者の素朴な質問にも答えてもらいました。

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以下、当日の講演の概要を紹介します。

導入において植原先生は、直流電流と交流電流との差異に触れました。前者は時間によって流れる方向(正負)が変化しない電流であり、後者は時間とともに周期的に向きが変化する電流です。1880年年代後半の電力事業黎明期のアメリカにおいては実用化されるべき電力輸送として直流、交流のどちらを採用するかを巡っての利権争い、いわゆる電流戦争(でんりゅうせんそう、War of Currents)が起こりました。トーマス・エジソン陣営が直流送電(DC)の使用を提案したのに対して、ニコラ・テスラとジョージ・ウエスティングハウス陣営は交流送電(AC)の使用を主張しました。この争いの結果として、直流を提唱するエジソンが敗れ、交流を提唱するテスラが勝利を治めることになりました。

また、直流は送電線のコストが安価であるという長所と同時に、電流の遮断が難しいことや電食などの短所もあること、一方、交流では電圧の変換が可能であること、周波数の制御、設備におけるコストパフォーマンスが良いなどの長所と同時に、熱の量が少ない、電力融通が困難であるなどの欠点があることなどの説明もありました。

さらに東日本大震災の際の電力不足の際に問題として浮き彫りになった、西日本と東日本の交流周波数の違い(西日本/60ヘルツ、東日本/50ヘルツ)という点にも触れました。歴史的な経緯において、西日本はアメリカから発電機を導入しましたが、東日本はドイツから導入しました。その周波数を現在においても統一することが困難である理由は主に、設備を作り直すことに伴う財政的な問題とのことです。

次に植原先生は大量の電力を長距離間で輸送する場合には、電力損失の少なさによるコストの軽減の観点から、高電圧電力輸送が用いられていることをこのシステムが広く行われているヨーロッパの実例をもとに説明しました。

植原先生はエジソンの推進した直流送電システムの現実的な問題にも触れました。19席紀末のアメリカ東海岸の大寒波の際には、雪の重みで太い直流電力網が崩壊しニューヨーク市で犠牲者が出ました。一方、携帯電話、LED, 太陽電池、電気自動車などのすべての電池式の装置は直流電流の製品であること、また、インバーター技術により直流を交流に変換する日本の私鉄の電車などにも触れました。

更に、セルビア系移民で、蛍光灯、テスラ・コイル、交流誘導電動機などの多数の発明、無線送電システムの提唱などで有名なニコラ・テスラの、変圧器を用いた電圧の変換・交流配電システムを紹介し、交流の製品として冷蔵庫、洗濯機、自動車のモーター、新幹線などを例として示しました。

電流戦争の結果とは裏腹に、現在エジソンの創設したエジソン・エレクトリック・ライティング・カンパニーの後身であるゼネラル・エレクトリック社は電力業界に君臨し、ウェスティング・ハウス社はすでに存在しません。前者は現在ジェット・エンジン、MRI、ガス・タービンなどを生産し、後者は、2名の発明家で従業員であった、ニコラ・テスラと変圧器を発明したウィリアム・スタンリーの名を残すのみです。

植原先生は今年度のご講演においては、英語での講演、質問のコーナーの後に日本語で補足説明し、直流電流、交流電流の利権争いの歴史にもかかわらず、その両方が必要であること、特に直流電力送電はその経済的な便益から見直されていること、また、今後、この分野での研究に期待されていることが、その視野を中国、アジア、アフリカなどへ拡げてゆくことであることを指摘しました。特に、後者に関しては、アフリカの砂漠でのソーラー・パネルによる発電、北海での風力発電、これらの場所において発電した電力を直流電力送電により人口の多い場所へ送電する可能性などが今後の可能性として指摘しました。

今回の講演会での聴講者の殆どは、電気力学を専門とする学生ではなく、下記に示す当日の質問以外にも、「なぜ海中では変圧器が使えないのか」、「歴史的な経緯において当時の日本人がなぜ異なった交流周波数の導入を受け入れてしまったのか」、「なぜ高電圧直流送電のシェアに占める日本の割合が低いのか」など、素朴な疑問が続けて呈示されました。また本講演の内容の一部である「テスラ・コイル」に関しては、聴講学生による紹介が後日、続けて行われました。

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当日の以下のような質問がありました。

Q: Since when have DC current and AC current been used in Japan?

Q: Which electric current has been used as the main option in Japan, DC current or AC current?

Q: Which of the two scientists do you think had a greater influence on the world today, Thomas Edison or Nikola Tesla?

Q: What kind of problem or accident would happen if we adopted AC electric power transmission system for long-distance transmission, instead of DC power transmission system?

Q: What are the merits of having different frequencies for electrical systems in different areas of a country, as in the case of Japan?

Q: For long distance electric power transmission by underwater cables, is the DC transmission system still the only technically feasible option?

Q: If Nikola Tesla did not appear in the history of the world, what kind of influence did it have on our lives today?

Q: Why did you become interested in electricity and electric current?

Q: What percentage of households had electric lamps in 1880s?

Q: I understand that the market share of the high-voltage direct current (HVDC) electric power transmission in the world is quite different from that of the electric cable transmission. While two Japanese companies appear in the top 5 companies for the electric cable share ranking, they have only a small share of 4 percent in the world HVDC market share. Is it because the Japanese companies are not good at producing extruded cables?

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