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遺伝子工学を利用した植物の仕組みの解明と改良

近藤 陽一 研究室

 
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細胞外から遺伝子の働きをコントロール

飯田 博一 研究室

 




■ 遺伝子工学を利用した植物の仕組みの解明と改良

近藤 陽一 研究室

 
 物理的, 化学的な環境要因の過剰や不足によってもたらされる環境ストレスは、 作物の生産効率に悪影響を及ぼすことが知られています。私達の研究室ではシロイヌナズナとゼニゴケという二種類のモデル植物を使って、植物の環境ストレス耐性を増強させるための二つのアプローチを試みています。一つは環境ストレスを植物に付与する遺伝子を見つけだし、それを作物に遺伝子導入することで、収量が向上した新たな作物を作り出すことです。現在、そのような遺伝子の候補を探索する技術を構築しており(図1)、この技術を使って有用遺伝子の候補の単離にも成功しています。

ky1 図1 高速有用遺伝子探索システムの概念図

ゼニゴケで効率良く有用遺伝子を探索し、シロイヌナズナで遺伝子の効果を確認する。最終的に作物への応用を目指している。

ky2 図2 有用遺伝子の候補を導入したことにより高温に強くなった遺伝子組換えゼニゴケ

高温ストレス後、数週間回復させた。遺伝子導入したゼニゴケの方が、遺伝子導入していないゼニゴケよりも、著しく回復しているのが解る。スケールバーは2 cmを表す。

 もう一つは遺伝子組換えを使わないで、化合物の力を使って植物の環境ストレス耐性を増強させようという試みです。そのような化合物の候補には、人の薬に使われているような一見植物と関係がなさそうな様々な化合物に着目して研究を行っています(図3)。化合物の合成には有機合成の知識、技術が必要不可欠なため、この研究は生命科学コース内のケミカルバイオロジー研究室と共同研究で行っています。直ぐ近くでこのような共同研究が出来るのも、様々な分野の研究室がある関東学院大学の生命科学コースならではだと思います。

ky3 図3 高温ストレスをかけた後、数日間回復させたゼニゴケとシロイヌナズナ

ゼニゴケもシロイヌナズナも、化合物を添加した方(下段)が、添加していない方(上段)よりも生育状況が良いのが解る。スケールバーは5 mmを表す。

 これらの研究が食糧問題の解決の糸口になってくれることを期待して、日々研究を推進しています。
 


 


■ 細胞外から遺伝子の働きをコントロール

飯田 博一 研究室


 近年の遺伝子解析、遺伝子組換技術の進歩により、私たちが普段から口にしている食物の中にも、遺伝子組換されたものが増えてきています。しかしながら、遺伝子組換された農産物に対する社会的な拒否感は否定できません。

 我々は、遺伝子組換を利用しないで、細胞外から遺伝子の働きを制御できる技術の開発を目的とした研究を行っています。DNAとある化合物の分子生物学的知見、即ち『ピロールアミドはDNAのA、T、Cと水素結合を介して結合できる(図中の①、②)が、Gとはピロール環にある一つの水素が立体的に邪魔するために結合できない(③)。一方で、ピロール環の一つのCHがNに置き換わったイミダゾールアミドは、Gと水素結合を介して選択的に強く結合する(④)』に基づいて研究を進めた結果、任意のDNA 塩基配列に特異的に結合する化合物のデザイン・合成を達成しています。また、この化合物が結合する特定のDNA塩基配列について、その配列に由来する遺伝子発現を止めることができることも明らかにしています。

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 現在、このDNA結合性化合物の植物に対しての応用を、同じ生命科学コース内の近藤研究室との共同研究の中で検討しています。具体的には、植物を環境からのストレスに強くしたり、可食部である種子中に有用な代謝産物を高度に蓄積させたりするような農薬開発を進めてきています。

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 将来的にはヒトへと応用し、がん遺伝子の発現を特異的に阻害する新規抗がん剤の開発研究へと発展していきたいと考えています。

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