■ 身体運動を科学する
高橋 健太郎 研究室
健康科学・テクノロジーコースでは、ヒトの身体と健康について解剖学や運動生理学などの知識を身につけ、スポーツ動作の解析や運動中の脳の働きや筋肉の活動状況などを最新の装置を使って研究しています。
現在、学生が取り組んでいる研究は、モーションキャプチャーを用いたサッカーのインステップキックの動作解析や、脳波計を用いて、運動を伴うビデオゲームと現実におこなわれている運動時脳波の比較などがあります。
モーションキャプチャーを用いることで実際の運動を3次元で詳細に分析し、上手な選手とそうでない選手はどこがどう違うのか、など個人の欠点や特徴などを明らかにしてコーチングやトレーニングに役立てることが出来ます。また、運動中の脳波を測定することで実際に運動している時と、バーチャルリアリティ下での運動では脳の働きがどのように異なるのかを明らかにすることが出来ます。このような測定では、実際の運動ができない高齢者の運動支援や障害者へのリハビリなどに役立つことができます。
■ 元気な筋肉を維持して、生き生きと過ごすために
~健康寿命の延伸とリハビリテーション科学の発展~
木村 鷹介 研究室
木村研究室(健康医科学研究室)では、介護予防やリハビリテーションに関する研究に取り組んでいます。例えば、3軸加速度計身体活動量計を用いて日常生活の運動を「見える化」したり、身体を動かす源である「筋肉」について超音波画像診断装置を使って分析しています。これらにより、高齢者や患者さんが筋肉を良好な状態に保つためにはどれくらい身体を動かす必要があるのか、どのような運動が有効なのか、といったことを研究しています。
現在、学生が取り組んでいる研究としては、eスポーツ中の脳波解析、受傷経験者と健常者におけるジャンプ動作特性の差異に関する三次元動作解析などがあります。これらの研究は、高齢者の認知症予防やスポーツ復帰を目指すリハビリなどに役立つと考えております。
■ 人間医工学を学ぶ
簑弘幸 研究室
健康科学・テクノロジーコースの人間医工学研究室では、脳科学や人体機能学の知識に加え、デジタルヘルスケアでの実践的なスキルを学生が身につけられるよう、次のような3つの軸での課題に取り組んでいます。なお、それらの課題は、米国の研究機関との共同研究として、また日本学術振興会の科学研究費助成事業の支援を一部受けて、遂行されています。
1.生体信号計測・解釈とデジタルヘルスケア
・確率点過程の強度過程の最大尤度推定法に基づくパラメトリック推定
・人工知能を用いた心電図や脳波による疾患の分類
図1:心電図の波形から心疾患を分類する人工知能の模式図
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2.脳神経系疾患の機構理解と脳深部刺激療法(米国Case Western Reserve大学との共同研究)
・錐体外路系疾患における脳深部刺激療法での最適電気刺激波形の設計
・難治性薬物依存症の治療での側坐核に投与する電気刺激波形の設計
図2:脳深部に埋め込まれた電極とそれらの電極に投与される電気刺激波形
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3.難聴機構の理解と聴覚神経補綴(米国California大学Irvine校との共同研究)
・難聴機構理解のための聴神経の髄鞘とRanvier絞輪の変性を模擬した生物物理学的モデリング
・人工内耳の情報理論的尺度に基づく電気刺激波形の最適設計(科研費助成事業の支援による)
図3:神経変性を受けた聴神経モデルにおける人工内耳の電気刺激波形とその応答のタイミング
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